今のところの移り住む前にいたアパートの大家さんが、今年9月に亡くなったことを知った。
そのアパートは、築年数は古いが、1階に大家さんが住み、2階に4戸、店子が住む部屋がある。
駅から徒歩約5分で、バストイレ別、2K、しかも家賃も安い。
住み心地もよくて、よく友人を招いて呑み会をしては、うるさい、と怒られていた(笑)
8年、お世話になった。
このアパートに引っ越してきてから、プロの役者としての生活がスタートした。
最初の頃は本当に貧乏で安い家賃もろくに納められず、
ついに我慢できずに、というかあんまり滞納しすぎると自分が大変だろうから、と心配して大家さんが督促に来てくれていた。
5年くらいしてから、ようやく、家賃も普通のペースで納められるようになってきて、そのことをまた、心から喜んでくれた。
よく公演で花束を頂くが、
家にはあんまりいないし、またそんなに大きな花瓶もないし、それじゃせっかく頂いたお花も可哀想なので、
大家さんに、
大家さんに、
「よかったら貰っていただけませんか?」
と、何度か足を運び、そしてその度に、大きな声で喜びはしゃいでいたのを今でもよく思い出す。
結婚してからも、二人で1年半くらいお世話になった。
本当は一人暮らし用の部屋なのだからいけないんだろうけど、ご挨拶がてら相談に行ったら、我が息子のことのように喜んでくれて、
もちろん二人で暮らしなさい、と言ってくれた。
諸事情で、1年くらい前に今のところに引っ越してきたが、
自分がそのアパートを出てから、僅か1年余りでこの世を去ってしまうとは、本当に信じられない夢のような話だ。
今でも、大家さんの元気な声で電話がかかってきそうな気がして、涙が出そうになる。
あの大家さんがいなければ、今の自分は確実にいなかった。
人は誰でもいずれは死ぬが、
その時残された者が死者に対して後悔しないような生き方をしていないといけない、と、ここでもまた大家さんに教えられたような気がする。
どうか、安らかにお眠りください。
ありがとうございました…
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