ピーター・シェーファーが書いた『エクウス』という戯曲がある。
今はもう絶版になってしまっていて、古本屋でも見つけることはかなり難しい。
10年以上前の話だが、これを上演したことがある。
当時大学生だったが、大学のサークル内での公演ではなく、他の大学2,3校の精鋭が集まって上演した。
ストーリーは、6頭の馬の目をえぐった少年と彼を診る精神科医が主人公で、精神科医が、なぜ少年は馬の目をえぐるなんてことをしでかしたのか、その真相に迫っていくという話だ。
実話が元になってるという。
当時、観に来た友人たちは、(観劇したその日の夜)夢に出てきた、とか言ってくれてそれなりに評判がよかった。
実は今でも台詞を思い出すことがある。
基本的に、公演が終ったら忘れてしまうことが多いのだが、時々ふとした瞬間に『エクウス』の台詞を思い出すのだ。
もちろん全部は覚えてないので一部でしかないし、自分がやった役のとも限らない。
それなのに時々ふと頭をよぎる。
今朝も、精神科医の台詞が頭をよぎり、離れなくなった。
「いいとも! 取り除いてやろう! だが、それからどうなる!」
狂っているのは馬の目をえぐった少年なのかそれとも一般の普通の人の代表でもある「精神科医」なのか。
少年を「異常」から解き放ち、彼が連れ戻そうとしているこの社会は、本当に「正常」な世界なのだろうか?
紙一重だ。
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