杉並区民オペラの「ジャンニ・スキッキ」が幕を下ろして、二週間が経つ。
関係者各位には、大変お世話になり、またたくさんご迷惑もおかけして、
それでも、無事に幕を下ろすことができたのは偏にスタッフならびに関係者のお力で、本当に感謝の念に堪えない。
二日間の公演で、両日とも完売。
当日客席には、溢れんばかりの人が集まった。
そんな中、客電が消え幕が上がると、ブォーゾ役のマイムの和さんが静かに動き始める。
そして、人々の注目を一心に集めたうえで、いきなり音楽が始まる。
この、演出こそが、自分だけにしかできないものだと自負できる瞬間。
この現場には、数多くのベテランがいて、数多くの中堅どころがいて、若手なんてほんの一握りしかいなかった。
かく言う自分も若手の部類に入るわけで、
そんな若手が、歴々たるキャストを動かし演出するというのだから、こんな恐ろしい話はない。
大抵は、ベテラン揃いが自分達で勝手に決め込んでしまい、若い演出はそれに習うしかないぐらいの存在なのだが、
それだけは絶対に嫌だったし、
また、そうなるくらいなら、演出なんか引き受けなかった。
結果として、全員がしっかりとついてきてくれたし、また、非常に珍しいことだが、全員の仲がとても良かった。
いいチームになった。
もちろん自分の力だとは思ってなくて、
あくまでそういうきっかけを与えただけ。
でも大事なのは、きっかけを与える隙を作ることで、そのためには、信用されなければならない。
その時間だ。
その過程までの時間を、どうするのか、これが一番大事だ。
人は、勘違いしやすい。
どんな立場でも、どんな人間でも、ふとしたことで良くも悪くも勘違いしてしまう。
それは性だろう。
だからこそ、それを理解し、また、己にも言い聞かせ、より良い舞台を創る。
そのためにしなければいけないことを考える。
誰かの御機嫌を取る為の舞台創りなんて面白くもなんともない。
そう、思ってる人がたくさんいる現場だった。
あんまりこういうことはない。
この先もどれだけあるか判らない。
でもきっとこういう世の中になる。
そういう世界を、当たり前にしなければいけないのだ。
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